X-H1の購入1か月後レビュー

富士フィルムのX-H1を購入してから1か月以上たちましたので、簡単に(意外と長くなりましたが)レビューしてみます。

1.画質


APS-Cで画素数が2400万画素程ということで、このレビューを書いている時点では特に多くもなく少なくもない妥当な画素数だと感じています。

これまで使用したことのあるフルサイズの2400万画素(D750、Z6)とくらべても高精細さで負けている感じはなく、むしろより繊細な描写に感じます。これはフルサイズの機種がローパスフィルターが入っているからかもしれません。



かといって、フルサイズよりも高画質かというとそういうわけではなく、やはりAPS-Cらしい画質だと感じています。(場合によっては余裕が感じられない気がします)

ダイナミックレンジのように、センサーの性能がそのまま出てくるような性能評価ではフルサイズ機の優位性は明らかだと感じます。

そのうえで、X-H1の画質に関しては満足できるものです。富士フィルムの色が良いという意味ではなく、写真画質として十分(レタッチ耐性についても)です。等倍でみるとZ7のように高画素機と比べると解像度が足りないと感じるでしょうが、一枚の写真として全体をみると満足いくものだと思います。

富士フィルムの色・描写が好きな方は、もちろんこのカメラもお勧めできますが、そうではない方の場合はたまに独特な違和感を感じる可能性もあります。



私が感じているのは、アンダーで撮った時のハイライトの描写に独特な感じ(これまで使ってきたほかのカメラよりも浮立つ感じ)を抱いています。否定的には感じていないので私にとっては良いのですが、人によっては受け入れられないかもしれません。迷われている方は作例をよく見てからにした方が良いかもしれませんね。



私が富士フィルムのカメラに惹かれた一因にフォトヨドバシのX-PRO2の作例があります。

http://photo.yodobashi.com/fujifilm/camera/xpro2/
(この波打ち際の描写、ACROSSでとった窓の写真に惹かれました)

X-H1を選んだ理由は、標準ズームのXF16-55mmf2.8を使うためでしたが、その次に選んだ単焦点をXF35mmf1.4にしたのはこのフォトヨドバシ作例のせいです。

2.操作性



X-H1はプロ向けの機種であるとのことですが、それなりの大きさがあり、大きなレンズとの組み合わせではグリップも良く使いやすいと感じています。

ただ、富士フィルムの強みでもある優秀な小型単焦点レンズとの組み合わせでは、構えにくいと感じることもあります。これについては、X-H1以外の富士フィルムのカメラを使ったことがないので、他機種で改善されるのかはわかりませんが、これを理由に買い替えたいと感じるほどではありません。

ボタン配置はおおむね満足ですが、AF-ON・AE-Lのボタン位置には満足できていません。とくにAE-Lは使いにくいといえます。このため、半押しAF設定にし、AF-ONボタンにはAE-Lを割り当てています。

これまでのカメラでは、マニュアルで撮っていたのですが、X-H1では絞り優先で撮っています。

シャッタースピードをマニュアル設定するよりも、絞り優先で露出補正を調整することとAE-Lを使うことで、シャッタースピードをカメラ任せにした方がより細やか(マニュアル設定するよりも細やかに設定される)に設定できるからですが、使いやすいと感じています。

絞りはレンズの絞りリングで調整していますが、反映するまでに少し時間がかかるので、慣れるまでは違和感を感じるかもしれません。このことも含め、カメラとしての完成度はニコンのZ6/7に比べると劣ると感じています。

例えば、X-H1を使っていると、EVFの露出反応が遅れることがあったり、カクツキがあったりします。また、スリープからの復帰時に不安定になることがあります。これらはZ6/7では一度もありませんでした。

3.良いところ
ブーストモードが前提条件になりますが、EVFは十分に綺麗だと感じています。シャッターフィーリングも穏やかで、優秀な手振れ補正と合わせることで手振れの恐れなく撮影ができます。

レリーズタイムラグもあまり感じませんし、豊富なフィルムシミュレーションでの撮影は楽しく感じます。

撮影時点で調整できる項目は多く、ハイライトトーン・シャドートーン・彩度などの調整が容易にできるので、こだわりを持って撮影する方には面白いと感じるはずです。

富士フィルムの単焦点レンズは、APS-C専用設計ということもあり、高性能な割に小型なものが多くあります。X-H1ならこれらを手振れ補正有で使うことができ、三脚をつかうことなく表現の幅が広がります。

X-H1はAPS-C機としては大型ですが、小型単焦点レンズと組み合わせることで、1kgを切る軽さで気軽なスナップに持ち出すにも躊躇しませんね。

4.残念なところ

・X-H1でもっとも残念に感じるのは、オートホワイトバランスです。暗がりなどでは特に感じます。(直前で使っていたZ7のオートホワイトバランスが良かっただけに余計に感じています)

撮って出し オートホワイトバランス

RAW現像でホワイトバランスをすこし調整したもの
JPEG撮って出しに強みがあると評価されている富士フィルムなので、オートホワイトバランスの精度がもう少し高ければな、というのが正直な感想です。とはいえ、富士フィルムを愛する方にとっては、撮影時点で調整すべき項目が一つあるだけなので、むしろうれしいポイントかもしれませんが・・・。(私はそこまでMではない・・・)

幸いSDカードスロットが2つあるので、RAWとJPEGで保存しています。基本はJPEGのを使いますが、調整したいときはRAW現像で対応しています。子供を撮るときはシャッターチャンス優先なので、いつもきっちり調整してってわけにはいかないですね。

・AF速度が足りていないことについてもよく言われるところでしょう。とくにX-T3とくらべると遅いっていうことです。

AFについては、私は動体をメインで撮るわけではないのであまり気になっていません。べつにMFでも良いんじゃないかと思うくらいなので。よく言われる『動き回る子供にAFが追い付かない』ってことについては、X-T3でも無理じゃないのかな?っておもっています。

実際、D850に純正の24-70f2.8Eでもしんどかったので。ある程度距離があれば十分対応できるのですが、至近距離を動く子供はカメラ任せでは難しいんじゃないのかな?それよりも、動きを予想して置きピン(もしくは連射)で対応した方がうまくいった経験が多いです。

とはいえ、暗所でのAFはもう少し改善してもらえると助かりますね。感覚的にはニコンのD810と同じくらいのAFに感じますので。

・デザインが富士フィルムっぽくない。

富士フィルムのカメラは、X-PRO2やX-T3のようにクラシカルなデザインが格好いいですよね。でもX-H1は、それらとは違ってカメラっぽいデザインをしています。よく言えば質実剛健って感じ。小型単焦点レンズとの組み合わせも、ちょっと違和感があります。

5.まとめ


X-H1について否定的な意見(性能が1世代前など)も多いことはわかっているのですが、私にとっては十分に満足できるカメラと感じています。

X-T3で改善されているAF性能(瞳AF含む)については、X-H1のでも許容範囲です。瞳AFは使わないし。(モノクロ調整も使わないかも。でもカラークロームエフェクトは使ってみたい。)



プロ機というには安定感が今一つな気もしますが、これも許容範囲です。バッテリーの消費量が多いことについても慣れてきました。

と、我慢できる範囲のデメリットにたいして、画質の良さ・魅力的なフィルムシミュレーション・優秀な手振れ補正・全体的な高品質感など、メリットはあまりあるものです。

いまならキャッシュバックキャンペーンも対象になっていることもあり、フルサイズを選ばないのなら積極的にお勧めできるカメラです。

とくにXF16-55mmf2.8との組み合わせでは満足できると思います。(XF16-55mmf2.8はこれまで私が使った各社大三元標準ズームと比べてもお勧めできます)


カメラボディの造りは高品質にできているので、X-H2を作る前にボディーはそのままでX-H1Mark2をだしてX-T3の新型センサーと画像処理エンジンを載せてみたら受けるんじゃないかと思います。開発コストも浮くでしょうし。

できればPENTAXみたいに5万円くらいでアップグレードサービスをしてもらえると嬉しいかな。


コメント

人気の投稿